劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル

『劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル』観て来ました。
相変わらずあの緊張感なく淡々と話が進む空気感、隙間なく刻み細かいギャグ、パロディ、全てにおいて『TRICKらしさ』の面白さが詰まっていて面白かったです。出演者も今回かなり豪華な気がしました。ヒロイン役でもある夏帆よりクチナシな片瀬那奈に目がいってしまったのは秘密。

以下ネタバレ感想。若干辛口注意。

映画館でもつい声を出して笑ってしまうそんな数少ない映画。今回特にハマったのはパロディネタは鈴木（松平健）の暴れん坊将軍ネタとかマツケンサンバネタ等、『作中に全く関係ない小ネタ』なら山田母（野際陽子）が乗っていたヘリで酔って気持ち悪くなってる秘書。書道ネタも面白いので背景とかチラっとしか出ない部分とかDVD発売した後でゆっくり観たいぐらい。
そんな面白い作品なんだけど、一点だけ辛口に言わせてもらうなら今回の脚本、あまりに疑問の残る後味悪い終わり方だったような気がします。

美代子、加代子（夏帆二役）の双子を殺した罪を償うのは翔平なのか？
翔平（佐藤健）の祖母は、自分と同じ双子『魔の物』として生まれた美代子の身を案じて始末することなく隠して生かすように指示をしたと村長（平泉成）は言うけれど、という事は双子は隠れて村で暮らしていた事を気づかないフリをして見守ってきたって事なの？その事を知らなかったのは当の本人と翔平だけって事？（村の上層部だけが知っていたという可能性もあるけど）
村長は最後に翔平の行った手品（トリック）の為に死んだ双子の罪を償うよう言うけれど、『罪』を問うなら翔平だけじゃなく双子の存在を知りつつもその行動を放置していた村全体にも責任があるのではないかと思ってしまう。山田母と『OK牧場ー！』言いながら近代化どーこー張り切る姿にチョットむかついた。そもそも翔平の祖母は『カミハエーリ』という村で絶対的な立ち位置であるならもっと正攻法で双子擁護できたのではないか？双子があまりにピエロでムゴい人生だ。

鈴木（松平健）も本当の霊能力者を探す為とはいえ、自らの姉を殺してしまうまでに加代子をあそこまで陥れる必要はあったのだろうか？
佐和子（三浦理恵子）を死に追いつめたニセ霊媒師への復讐という意味では伏見（藤木直人）の提案に乗った事には合点がいくのだろうけど、翔平や佐和子はニセ霊媒師ではないだろうと。加代子をあそこまで外道な行為に陥れる必要なかったのでは？

そんな具合でメインでもある美代子、加代子、そして鈴木。彼らの結末とそこにいたる行動があまりに微妙過ぎる脚本な気がしました。残された翔平もあまりに可哀相過ぎる。最後の最後で伏見のように鈴木を呪い殺すかとも思ったけどそこまでやらなかったのがまだ救いでしょうか。

余談ですが、矢部謙三が日に日に出番が無くなってきてるのがチョット寂しいです。先日のスピンオフドラマとの絡みとかあるかな期待したけど全然無かった。せっかく『カミハエーリ』なんだから絶対絡むと思ったのにね。